自力配信。

最近そこここで話題なのが、七尾旅人くんが始めた「自力配信」。
http://www.tavito.net/kensakushounen/
これはツイッターで小野島(大)さんに問い詰められて(笑)、私は自分の意見をつぶやいたのだが、FMNの石橋さんも多分私と全く同じ意見。
http://fmn.main.jp/wp/?p=2239


こういった形の音楽の供給によって、レーベルとかショップは意味をなさなくなる。音楽家とオーディエンス・音楽購入者の全うな関係性が戻ってくる。これは素晴らしいことだ。
楽家が得るべきカネを、レーベルとかディストリビュータとかショップとかJ○SRA○が中間搾取のような形で儲ける構図は、なくなってゆくに越したことはない。ライブはダイレクトに、小屋を貸した人、観に来た人、演奏した人、という実にシンプルな構造であるけれども、「自力配信」はそれに近い。
レーベル(含・出版社)というのは、過去ものすごくえげつないことをさんざんやってきた。やれ原盤権だのやれ複製権(メカニカル・ライツ)だの著作権管理だの、あり得ないほど複雑にせこい権益を主張し、音楽家に入るべきものを搾取して来た。もちろんレコード会社も利益のためにやらざるを得ない部分があるのは理解できる。だがしかし、それを法的に正当であることを盾に、「搾取しておりません」という主張は人道的に誤っていると私は思う。法的には正しいけど。つまり才能ある音楽家も法に騙されてその才能に見合った収入が得られないという構図だ。「才能に見合った収入」がいったいどの程度か、よくわからんけど。


と、ここまで書いて、私もレーベルをやっている人間なんだ、と気付かないほど私も馬鹿者ではなく、実際どうしようかと思っているのである。ツイッターで小野島さんに回答したように、配信とパッケージソフトはそもそも別物であるというのが、まぁ今のところの唯一の依りどころなのだが、財産を売却しなければならないほど、生活とレーベル維持は厳しい。LPからCDへの移行(80年代)は、様々な問題を抱えつつも比較的スムーズに行ったと思えるが、今回の事態は、音楽をとりまく構造が根本的に問われているような気がする。音楽家も、レコード会社も、ショップも、みんな考えざるを得なくなるんじゃないかな。


とりあえずは七尾旅人全面支援である。不健全な音楽販売/音楽業界に一石を投じたと私は思っている。これから様々な問題が出てくるとは思うけど、是非頑張っていただきたい。私はまだしばらくパッケージソフトで頑張ってみようと思う。コケたらコケたときにまた何か考えることにする。