『完全版・緑色革命』再び。

いつのまにか10月です。こないだ正月だと思っていたのに。
8月に発売した『完全版・緑色革命』(dmhrp-129/130)は、元々OFF BEATという70年代のフリー・ジャズのレーベルが原盤ですが、途中消滅し、原盤所有者をいくら探しても見当たらず(本当に頑張って探してあと一歩、というところまでこぎつけたのですが結局分らずじまいという気持ちの悪い結論となっております)、最終的には参加ミュージシャン全ての許可をいただいて再発をしました。一応これで筋は通っているはずであります。ただ、この作品を完全なものにしようと、当日行われたパフォーマンス全てを収録すべく、翠川さんと富樫さんのデュオ未発表を収録することにして、テープを聴いたらなんと40分あったのであります。
あ、なーるほど。と思いましたねオレは。当時のプロデューサーも富樫さんの演奏を入れたかったに違いない。ところが、40分という演奏時間。翠川ー高柳は約20分、翠川ー佐藤も約20分、当時はLPですから、これはA面B面にちょうど良いではないかと。翠川ー富樫も実にいい演奏ではあるがそれを入れると二枚組になる。しかもA面B面で切る部分をどこにするのか。そもそもこの演奏自体をぶった切っていいものか。当時のプロデューサーの苦悩が垣間見えるような気になります。ここは泣く泣く翠川ー富樫の演奏を入れずに高柳、佐藤の各々のデュオのみにしよう。メディアの物理的制約に地団駄踏んだプロデューサーの気持ちがよく分ります。CDですらしばしばそういうことがあります。


今回CD化にあたり、富樫さんの奥様に許可をいただきました。その前に佐藤さんが陰でオレを応援してくれたらしい。奥様から「佐藤(允彦)さんから電話があって、沼田という男が行くから話しだけでも聞いてやってくれないか、と言われたんですよ」と言われた。「佐藤さんのその連絡がなければ私はお断りしていたかも知れないんですよ」。
もう佐藤さんに大感謝するしかありません。その後佐藤さんにお会いした時も心より感謝の言葉を述べたつもりですが、どうにも私は口下手で、佐藤さんに伝わったかどうか...。


まあそういうことも諸々あり、ちょっと遅くはなりましたが先日富樫さんの奥様にご挨拶に伺いました。新宿ピットインの店長・鈴木寛ちゃんと一緒に。ここが笑えますな。寛ちゃんはこないだの富樫雅彦追悼コンサートを録画したDVDを持参。ついでに酒も持参(笑)。
ひとしきり奥様にご挨拶申し上げてから、3人で昼間より宴会となりました。ビールと泡盛。もう昼間からヘロヘロ。しかし奥様から伺う富樫さんの沢山の裏話はどれも面白く、ここに書けないような話も多いのですが、とにかく。富樫雅彦は音楽を奏でるために生まれてきたのだと再認識させるに十分な奥様のお話で、とても充実した呑み会となりました。普段呑み慣れない泡盛などというものを(もちろん邪道の水割りです)奥様にガンガン呑まされ、寛ちゃんもオレももうベロベロでした。富樫さんのお宅は東京からとても遠い。寛ちゃんと「まぁ7時頃には帰って来ようか」と話していたのですがすっかり10時を回ってしまいました。6時間以上は呑んでた。


そういうことですので、まだ聴いていない方は『完全版・緑色革命』(dmhrp-129/130。税込3,150円)を購入して、心して聴いてください。