音と音楽の境は。

大友3デイズの中日。ファーストセットは大友+飴屋法水+吉増剛三のトリオ。大友はプリペアド・ピアノ(含むフィードバック)、これが唯一「音楽的」か。飴屋さんのパフォーマンスにはいつも驚かされ、感心させられる。吉増さんの、他の二人を侵犯するようなステージパフォーマンスも発見に満ちている。しかし誰が何をやっているのかがほとんど見えず、具体的な音がどのように鳴っているのかを知りたい人には不満だったかも知れない。オレはと言えば、別にそんなことはどうでもよく、ステージ上で何かが起きている現場に立ち会っている耳・空気を共有している耳・雑音を聴いている耳が喜んでいることに感謝するばかりだ。
セカンドセットは「ジャズ」だ。大友+水谷浩章芳垣安洋によるカッコ付きの「ジャズ」だ。最も制約のある「楽器」が三つ鳴らされるということにおいて3デイズのなかでは最も不自由度の高い「音楽」であり、それが当然最も音楽的である。しかしこの3人のように演奏するトリオが世界中のどこかにあるだろうか。不思議な楽器演奏のトリオだった。この不思議感は既成の楽器を使用する違和感がこの3デイズでは逆に特殊を感じさせるという逆説的な考えがオレの脳内に巡回してしまったことによるロジックなんだと思った。思いっきり変でユーモラスな演奏だった。