不破大輔2/4デイズ、そして歌舞伎へ。

11月10日(月)
渋谷7thフロアで不破大輔4デイズの3日目。不破大輔(b, g, vo)、山本精一(g, vo)、佐々木彩子(p, etc, vo)=トリオdeフォーク・ジャンボリー。70年代日本のロック、フォークの名曲を唄と演奏でお届けする企画。3人が交代でヴォ−カルをとり、しっとりと歌われるその歌は、あらためて深みというか泥沼のような魅力が浮き彫りにされる。特に山本精一の歌う「冬のサナトリウム」と「サルビアの花」で涙を禁じ得なかった。終了後に不破さんからも同等の感想をきき、嬉しくなる。なぜ嬉しくなったのかは分らない。
11月11日(火)
同じく渋谷7thフロアで不破大輔4デイズの4日目。大フリージャズ大会。不破大輔(b)、吉田隆一(bs)、スガダイロー(p)、のなか悟空(ds)、高橋保行(tb)、名前失念失礼(as, 2ndセットのみ)。最初から最後まで飛ばしっぱなしのフリージャズ・セッション。30年前にタイムスリップしたようだ。最後は吉田隆一の絶唱(笑)で大団円。血と汗とよだれにまみれた肉体派。ピアノの弦が切れた。終演後不破さんと大笑い。
11月12日(水)
生まれて初めて歌舞伎を観覧。歌舞伎など全く興味がなかったのだが、ヨメが代休で久しぶりの平日の休みだということで勝手にチケットを取っていた。しかし江戸川乱歩の「人間豹」を江戸の脚本に書き換えた新作ということでちょっと興味を惹かれた。『江戸宵闇妖鉤爪』@国立劇場。11時30分開演なので早起きするのは辛かったが、開演にギリギリ間に合った。以下雑感箇条書きにて。
(1)大太鼓のビートはPILとかキリング・ジョークを思わせ、開幕のとき思わず興奮してしまった。PAシステムなどという野暮なものなしに響くナチュラルな大太鼓のリバーブは実に気持ちがよい。
(2)脚本には「人間豹」のみならず「孤島の鬼」や「一寸法師」なども折込まれていた。これがよりエンタテインメント性を増し、良かった。
(2)松本幸四郎の声はさすがに良く通り、ヴォーカリゼイションの凄みを感じさせた。
(3)語り(解説)とストーリー(舞台)の同時進行というのは歌舞伎の定番なのでしょうか。勉強不足でよくわからないのですが、三味線と声による解説部署もすごく良かった。
(4)以前ニコニコ動画かなんかで観たのだが、あの「中村屋っ!」という、パロディになった「大江戸コール&レスポンス」を思い出し、ホントに客席から「紀伊国屋っ!」とか声がかかると笑いそうになった。
(5)平日の昼間とあってか、年齢層が異常に高いが、ご老人たちはとても楽しそうにしていて、幕間休憩の間、皆とても美味しそうに弁当を食べていらっしゃった。
(6)スペクタクルな演出は江戸時代からあったと聞くが(以前江戸東京博物館にて江戸歌舞伎の展示を見たことがある)、やはりとても凝っていて特に大団円となる第2幕最終場で凧に乗って逃れようとする人間豹(市川染五郎)のシーンは圧巻。とても美しくもあり拍手を惜しまなかった。
(結論)江戸川乱歩じゃなければ行かなかった歌舞伎であったが、総じて興味深かった。なにしろ音響とか、ヴォイスとヴォーカルの狭間を行く台詞がカッコ良かった。ビートに乗ってラップみたいなコール&レスポンスをする台詞回しは肝要なところで必ずBPMが緩やかになってゆき、エンタテインメント性とストーリー性を強調する。カッコいいなあと思った。西洋のリズム体系に慣れきった耳には実に新鮮に響く。今度は銀座の歌舞伎座に行ってみよう。江戸川乱歩じゃなくても十分に楽しめそうな気がする。