大友2デイズ。

ジャケットの入稿やプレス依頼の時期はどうしてもバタバタしてしまうもので、この一週間はその仕事でほぼ時間を費やしておりました。それでもしかし、これから出来るCDを作る課程というのは辛さ半分楽しさ半分なわけでして、「楽しみ」がなけりゃハッキリ言ってやってられないわけです。
さて、9日(水)、10日(木)はレンチャンで大友良英イベントに出かけました。9日は新宿ピットインで『MUSICS』出版記念ライブ、10日は青山ブックセンター本店で『MUSICS』出版記念トークショー
9日は3セットで、"improvisation" w/ジム・オルーク勝井祐二、 "Dance" w/tokie、植村昌弘、saidrum、江藤直子、Sachiko M、"Free Jazz" w/水谷浩章、本田珠也。
"Improvisation"は多分、『MUSICS』の細馬さんとの対談中の「音楽の始まりと終わり」というのを強烈に意識させる演奏で非常に興味深かった。この音楽の終わりは主人公(大友)がすっと顔を上げた瞬間に唐突とも思える終わり方をした。オレはまだ演奏が続くものだとばかり思っていたのだが意外な部分で終わった。即興のストーリーは極力排除されて、しかも時間軸の設定も従来通りではなく「音楽的な終わり方」でもない。言葉では「ストーリーを排した即興」なんてカッコいいことを言えるけど実は聴く側は(オレだけかもしれないけど)演奏の時間軸にそって何らかのストーリーを脳内で作ったり各々の音を聴き分けたりして「無心になって聴く」ことなどあり得ない。でオレもそういった「ストーリー」を作りながら聴いていたわけだが、もしそのストーリーに「起承転結」みたいな展開があるとしたら転の「て」のあたりで終わった感じ。その意外さはすごーく面白かった。この3人だから出来るんだろうなとも思った。
"Dance"は新機軸だった。"Dance"の音の作られ方はまぁ昨日、本人から聞いたが公には「謎」ということにしておく。過去のONJOや即興セッションとは全く別のベクトルのサウンド。大友っちのターンテーブルの音はもう言語以前に「生理的に好きなんだ」と言うほかなくて、稚拙ですいませんがとにかくそうなんです、オレは。この"Dance"のバンドの音は賭け値なく、好き。大友っち、ギター、がんばってください。
"Free Jazz"はファーストセットとは全く異なり、3人でストーリーを作ってゆく音楽。これは演奏者と聴取者のブレはまずないだろう。力技でグイグイ突進していくタイプの、まさにいわゆる「フリージャズ」。「力技」ということになるとそれはそれは3人ともとてもうれしそうに演奏するのが手に取るようにわかり、こちらもとても楽しい気分に。
全く異なった3つのセットだったが、どれも楽しめた。もう人大杉で汗だらだら。自転車で来たので心置きなく打ち上げに参加。
10日のトークショーは、青山ブックセンターの方より招待を受けたので、行ってきた。CDも販売していただけるし。お世話になりました。ありがとうございました。内容は『MUSICS』の内容をかいつまんで、面白おかしく話す、というファンの方にとってはとても贅沢な内容だったと思う。でも、実際に内容を読んでみてくださいね。ものすごく面白いですから。一気に読めちゃいますから。
レーベルの社長は、まぁ盛り上げるべく質問コーナーで質問を投げかけました。後々の質問が出やすいような雰囲気を作ろうと思ったのですが、そんな心配をするまでなく、皆さん積極的に質問をされてて、ちくしょー質問なんかするんじゃなかった、おとなしくしてりゃ良かったよ、とちょっと後悔した。でもまあリラックスできる感じのトークショーで、良いイベントだったのではないか。