白鍵と黒鍵の間に。

doubtwayoflife2008-06-09

昨日の日曜日、秋葉で無差別殺人事件が起こった。なんとあの時間、オレと配偶者は秋葉のヨドバシにUSBケーブルを買いに行こうとしていたのであった。配偶者は「この後美容院に行かなくちゃならんからあまり時間がない。あ、ヨドバシって上野にもあるじゃん。時間もないので上野のヨドバシで買うわ。」と言って我々は事件の真っ最中上野のヨドバシに居たのであった。いつどこで何が起こるか、全く分かりませんな。
そんな話題を肴に月曜日はH坂さん、U井、C本、S崎と淡路町で呑み。久方ぶりに「呑み」のことを書いたが、みんなにあまりにも「呑みにばっかり行ってて云々」と言われるので、あまり書く気がしなかったのだった。けっこう呑んでます。毎日呑んでるな。家でも。外でも。立ち呑み屋でも。座り呑み屋でも。


南博GO THERE!@新宿ピットイン(南博 p、竹野昌邦 sax、水谷浩章 b、芳垣安洋 ds)。ジャズだった。正真正銘ジャズだった。カッコ良かった、南さん。これがジャズだ、と思った。ドラマーは主にそのダイナミクスの大きさでもって全体のサウンドを引き締めたり緩めたりして完膚なきまでに全てをコントロールしているように思えた。さすがナンバジャズ(意味不明だが)。
会場で売ってた南さんの本『白鍵と黒鍵の間に』を購入。帰ってから夜更かしして一気に読んでしまった。強烈に面白かった。南さんがバークレーに行く前の、銀座でハコのピアニストをやったりバンドのツアーをやったりしてた時代のことが書かれているのだが、その出来事のいちいちがめちゃくちゃ面白い。特に始祖鳥が飛んで来るくだりとか、ジョビンの「ウェイヴ」を日本語で歌うくだりとか、バークリーにハッタリをかまして入学願書を出すくだりなんかは、声を出して笑わざるを得ない。配偶者に「楽しそうでいいね、あんた。」と羨ましがられたりもした。
それでもピアニスト南博は自分のやりたい音楽とリアルな音楽生活の間に引き裂かれながら生活していた。その迷いや、悩みや、心情が淡々と、幾度となく語られる。「僕は一体何をしているのだ」という心境がそれこそ何度も登場するけれど、その笑いの裏には実はバランスが取れずに悩み続けるひとりのミュージシャンの本音が見え隠れしている。あまりこのブログで本とかCDとか安易に推薦しないことを心がけているのだが、この本はかなり面白いです。