恐くなかった。

帰ってきた。新宿ピットインから。本日は7年ぶりのシャクシャインである。のっけから飛ばしまくり。「シャクシャインの戦い」。もうこれでノリノリ。あとはもうミストーンがあろうと細々したミスがあろうと、そんなん関係なし! ドカーンと7年ぶりのシャクシャインでした! CDも売れたし、ライブはサイコーだったし。良かった良かった。シャクシャイン、定期的にやって欲しい。年に4回はやってほしい、と思うのは私だけじゃないでしょう。
帰りは新宿ピットインの裏手の方にある博多ラーメンを喰ってきた。最初「キクラゲラーメン」を頼んだのだが、出されたものはキクラゲが少なく、どうみても普通のラーメンにしか見えない。オレ、こういう時に文句言うのがとても苦手で、でもやっぱり間違いは間違いであると指摘せねば世の中良くならないと思い、半分くらい喰ったところで「あの〜これキクラゲラーメンじゃないですよね。ぼく頼んだのキクラゲラーメンなんですけど...」と言ってみた。そしたらオーダーを取るオッサンが厨房のオッサンに「ほらーちゃんと作れよー。」と言った。そしたら厨房のオッサンが「おめーがちゃんとオーダー取ってねんだろ。」と言った。私には謝罪なし。まあしゃーねーなーと思い、もうちょい喰へるかなとも思い「替え玉ください。」と追加オーダー。その直後「いやぁごめんね。はい、キクラゲのトッピング。」とオーダー取るオッサンから差し出されたそのキクラゲの量。大杉。「ゲッ。替え玉頼むんじゃなかった。」と思うも後の祭り。替え玉はすぐに出された。キクラゲと合わせてものすごい量。もう既にひと玉分喰っているというのに。「喰へない。」と思うと喰へないのだ。と思い、一挙に、もう喰いましたよ。おなかカポカポ。食い杉。しかも汗かいたから喉乾くし。水とか飲んだら余計カポカポになるし。最初からキクラゲラーメンが来ていれば私は替え玉なんかオーダーしなかった。歴史にイフはないと言うが、メシのオーダーにイフは大ありだ。
さて、昨日思い出した話を書くことにする。「今日の日記、期待してますよ。」と何人かの方から声をかけられた。いや、期待されてガッカリされるのは明らかなんですが...。
あれは私が向ヶ丘遊園からディスクユニオン淵野辺店に通っていたときだから1986年から1990年の間のいつかだ。淵野辺店に通うときは出勤は下りで退勤は上りだから一般の人々と逆なので電車はすごく空いている。小田急線・向ヶ丘遊園〜町田でJR横浜戦に乗り換え淵野辺下車というルート。淵野辺店時代の残業はものすごく、毎日終電だった。でもそのばあさんに遭遇したのは怒濤のような残業地獄の時期を少し過ぎた頃だったように思う。それでも帰りは11時を回っていた。このころの電車がちょうど中途半端な時間で一番空いているときなのだ。もう余裕で座れる。町田で私の乗った車両には、私と、だいぶ離れた斜め前に女の子(学生のように見えた)とあとひとりふたりいたっけかな? とにかく乗客はまばらだった。各駅停車に乗った。そのばあさんが電車に乗ってきたのは町田から新百合ヶ丘の間の駅のどこかだ(玉川学園前、鶴川、柿生、のいずれか)。私は開く扉に向かって座っていたのでそのばあさんが乗って来た瞬間にばあさんを見た。全身総毛立った。凍って動けなくなった。たぶんホームレスのばあさんだとは思うのだが、いくらホームレスでもその衣服はないだろうというほどのボロボロの衣服、というよりそれわざと破いたのか?というくらい見事にボロボロ。でも何故か不潔な感じはしないんだよね。そしてその風貌たるやものすごい形相をしているのだった。私は後にも先にもあんな壮絶な形相のばあさんを見たのはこの時限りである。骸骨の上にそのまま皮をくっつけただけとでも言えばいいのだろうか。とにかく頬はこけ、目は窪み、髪の毛はボサボサに突っ立っている。眼光がものすごく鋭い。あの、安達ヶ原の鬼婆っていう伝説、あるでしょ。見たことないけどそんな感じ。とにかく私は凍ったのだった。ばあさんは車両に乗るなり、すぐにくるりと振り返り、なぜか私からちょっと離れた女の子の前に立った。ガラーンと席が空いているのに座ろうともせず、女の子の前に立って女の子を上から見ているのだ。その女性も凍り付いた。電車が動き出した。ばあさんは動こうとしない。女の子も凍っている。ついに女の子が泣き出した。ばあさんは何をするでもなく女の子の前に立って上から見下ろしているだけなのだ。うつむいた女の子の肩が痙攣している。泣いている嗚咽が聞こえる。オレも凍って立てない。この空気感。なんか息も出来ないような空気感。
ばあさんは一駅か二駅で降りた。その後の記憶がない。女の子がどうしたのかの記憶もない。
夢ではないことは確かだ。というのは後日の昼間、そのばあさんがやっぱり新百合ヶ丘〜町田間で乗り降りしているのを再度目撃したのだ。その時の形相も凄かった。その時も乗客が凍った。
あのばあさんは何者なのだろうか。単なるホームレスなのか。それとも何かが取り憑いているのか。いずれにせよビビリの私は思いっきりビビったのであった。もしかしたら思いっきり不幸を背負ったばあさんかも知れないし、正体は不明のままだ。このばあさんの件に関して知ってる方、教えてください。
ほらね。今読み返したら全然恐くねーや。ガッカリ。「怖さ」を文章にするのもなかなか難しい。