健康って...

頭痛、鼻水、くしゃみ、倦怠感の症状は回復した。それに伴い熱も下がった。これだけでもとても楽ちんになった。あとは鼻づまり(鼻声)と咳と関節痛だけですね。ちゃんとお薬を飲むために一日3食(普段は一日2食です)を励行し、たっぷり眠って私の中の抗体を育てたのが勝因であった。病気になるとつくづく健康は大事だなと思う。逆に言えば病気にあこがれたりするのは健康な証拠なのかな、とも思う。じゃあここ10年くらいの健康ブームって何なんだろう? みんなそんなに病気で苦しんでるかというとそうでもなさそうだ。人はどこかしら弱い部分(器官)を持っているものだ。消化器系が弱い人もいれば呼吸器系が弱い人もいれば皮膚が弱い人もいれば耳とか目とか舌とか、他様々な部署にウィーク・ポイントを持っている。それを十把一絡に黒酢がいいとかマイナスイオンがいいとかアガリスクがいいとか、そういうのはいかがなものかと。それは単に人の弱みにつけ込んだ単なる経済活動だぞ、と。大切なのは自分で自分の身体といかに上手くつき合ってゆくか、である。もっと俗に言えば、いかに自分のウィークポイントをだましだましつつ生きてゆくか、ということだ。それは実に個々人にとって重要なことだ。そこがすっぽり抜け落ちているのに黒酢で長生き出来ると思ったら大間違いだ。科学と非科学の間のバランスをとりながら自分の身体をいたわることが必要だ。
そんなことを書いていたらまた不愉快なことを思い出した。わが国には去年辺りから「健康増進法」なる法律が施行された。全く余計なお世話だが、つい先日、9学会のガイドライン委員会がJRに対し新幹線を全面禁煙にしないと健康増進法違反になると要望を提出したらしい。全くいらんことしやがって、と思ったのは私一人だろうか。この手の禁煙・喫煙話が出るごとに私は非常に不愉快な気分になる。法によって嗜好までもが規制されるのがたまらなく心地悪いのである。そのうち酒まで法律で規制されそうな、もはや健康に対する狂気の沙汰とも言える徹底ぶりだ。私はタバコの煙がイヤです、と主張する人の前ではタバコは吸わない。そして一応回りの人々を気にしながらタバコを吸うようにはなった。そういうやりとり・取り決めでいいじゃないかと思う。これって法の問題じゃなくて道徳の問題じゃない? その9学会ガイドライン委員会の構成メンバーはさぞその道で貢献されている方々なのだろうが、健康面の重要性を強調するあまり、それが法をバックにした思想統制となる危険性をはらんでいることは考えられないのだろうか。そういうことを考えていたら、ちょっと怖くなった。と同時に健康って身体だけじゃなくて社会・文化のしくみによって意味が大きく変わるんだろうなぁという気がした。