浜田真理子@渋谷パルコ劇場。

なんと開演時間を30分間違えて会場に到着。到着時間7時20分。ずいぶん人がいないなあ、年末だから忘年会とか重なってて集客厳しいのかなあ、などと自分が時間を間違えたことに気付かず、なんとものどかな気分で会場に入ったら、係員の人に「ご案内しますので私の後について来てください」と言われたので心の中で、別に子供じゃねえんだから席ぐらい自分で探すよと、この時点でもまだ気付いていなかった大馬鹿者は私です。しかし様子がどうもおかしいのでその女性に「開演は7時半ですよね」と訊いたら、非常にクールに「7時からです。いま2曲目が終了したところです」と。そこで己の愚かさに気付いた。3曲目「アメリカ」の途中に、その女性にペンライトで導かれ、そ〜〜〜っと自分の席へ。ここでつまづいてコケたらコンサートは台無しだ。ちょっと緊張した。


浜田さんの生の歌声を聴くのは、昨年の大友良英のInvisible Song以来。浜田さん単独のライブは3、4年ぶりくらい? 美音堂・市川さんに幾度となく誘われてはいたのだが必ず予定が入ってて、行けていなかったのだった。
第一部の最後「love song」「純愛」は禁じ手でしょう、浜田さん、市川さん。また眼球から液体を垂れてしまいましたよ。男性という手前、人前で涙を見せてはいかんという、私は保守的な男です。しかし久しぶりに聴く浜田さんの声を前に、図らずも流れ出る液体。拍手の時にこそこそと目が痒い振りなどをしてごまかしておりましたが。
新譜は12月10日より予約受付という美音堂のルールをちゃんと守って、10日に予約購入をした『うたかた』は、ここのところのヘビーローテーションです。ゴードン・ムンマとかMEVとかとバランスをとって聴いている。(F.M.N.石橋さんも書いているけれど、アマ○ンは現在品切れ中なのでネット購入の方は美音堂に直接オーダーした方が手っ取り早いです。)発売記念ということで『うたかた』の曲を中心に。美音堂の予定セットリストを見ると『うたかた』の私の肝であった「かなしみ」は、明日の演奏予定でしたか。いやー明日も行きたいけど、明日は無理。


浜田真理子のうたになぜ涙するのかを言葉で説明するのが実に難しくてもどかしい。歌詞ではなくて声質なのか、メロディなのか、伸び縮みするビート感覚なのか、いややっぱり歌詞を同時に思い込みで聴いて涙するのか、たぶん誰もが上手く説明できないと思う。完成され、納得出来る説明を誰かが書いたとしても、いやたしかにそうだがそれだけじゃないと、オレはそれに反対するような気がする。天の邪鬼というのもあってさ。
浜田真理子のうたの前に言葉は本当に無力だ。言葉とか、哲学とか、そういった一切のロジックは敗北するほどに彼女のうたは力強い。まぁ敗北というよりロジックを凌駕していると言った方がより正確か。そしてそのように私も言葉で書いているこの虚しさ。


これを読んでみる皆さんは、是非購入された方が良い『うたかた』。エンジニアはZAK。相変わらずいい仕事してるなー。特にタイトル曲のリバーブにはけっこう驚かされました。BGM的な聴き方じゃなくて、歌詞を見ながらスピーカーに対面して聴いてほしいと思う。TTL TIME 55:50なので、一時間だけ仕事をやめてTVも止めて、ちゃんと聴いてほしいと思う。何故私がそれほどまでに眼球から液体を垂れ流すのかが、心ある音楽ファンであれば必ずや分っていただけると思うのである。