納品。

12日(水)は全ての直取引店舗に発送を済ませてから高円寺、中野方面に納品。新しくオープンしたお店、SUNRAIN RECORDSはオープンと同時にdoubtmusicの商品を卸し始めて、なかなか好調な滑り出しであるとのことだ。ここはパニック・スマイルの吉田くんと保田くんがお店をやっていて、さすがに彼らの鋭い耳でセレクトした商品が充実している。現在一番目立つところでガーゼ特集! 大友良英の新譜も爆音で3回連続で聴いてくれたそうだ。保田くんに「気持ち悪くなったでしょ?」と訪ねると「いや、20分経過した辺りから非常に気持ちよくなりました。」と言っていた。う〜む、そういう感想は初めて(笑)。嬉しいです。高円寺の駅から30秒のところにありますので、みなさんも是非行って見てください。 → http://sunrain-records.com/ とコピペしたところでブログを見たら、紹介されてました。ありがとうございます。
タコシェではアルタードの旧譜が売れていて、これもありがたいことだ。少しずつでも売れ続ける、ということは私にとってはまさに理想で、徐々に浸透して行く感の嬉しさをじんわりと味わいました。中山さんにはイギリスのとても芯の通った音楽雑誌を二種紹介していただき、「ここにdoubtmusicのサンプルを送るなら協力する」旨お話しいただき、これも全くありがたいお話で、セレクトして送ろうと思ってます。ちなみに雑誌二種は「The Sound Projector」とその姉妹紙「Vinyl Viands」。エドさんという人が出してるイギリスの雑誌です。ピンク・フロイド、ナース・ウィズ・ウーンズからホレス・シルヴァーまで!


で、円盤に行って田口くんとしばらく立ち話。ここからは深くて重い。田口くんからここのところの驚くべき音楽の衰退状況について話を聞く。薄々と感じてはいたものの、やはりライブ現場であり販売現場に常に居合わせる田口くんのリアルな話に唖然とする。こないだ不破大輔セッション@渋谷7th Floorに行った時にも久しぶりに地底の吉田社長(と書くと吉田社長が地底に住んでいるかの如く響きますが、正確に書くと地底レーベルの吉田社長です)に会い、音楽の流通や批評の状況悪化について情報を得たばかりなので、いよいよ末期感を強くする。
ミュージシャンやレーベルはCDがなかなか売れない、流通は売れるもののみを流通させる、お店も売れるもののみを在庫する、一方ライブでは相も変わらずノルマ制が残り続け、さらにそれが巧妙なやり方になってノルマ・レベルをより低く設定して出演者と観客を増やそうとする、雑誌は音楽批評と呼べるものが極端に減り、情報のみを垂れ流し続ける体たらく。
以前大友くんから的確なる菊地成孔の発言を聞かされたことがあるが、曰く「リスナーは問題を求めてるんじゃなくて解答を求めている」。なるほど非常に正確なここのところの状況であると思った。解答を求めることは別に間違っているわけではない。未体験の音楽を聴くと人の態度は二種に別れる。そこでそれを、理解不能とか好みじゃないと捨て去る人と、それを相対化する人だ。前者の態度は単に「音楽ファン」なのでこれは全く問題にはならないけど、後者は音楽に少しでも関わる人ならすべからく持たなければいけない態度だと思う。つまりその「解答」は自分自身で考えつくすべきことだ。この「解答」を他人に頼っているのが今の音楽を取り巻く状況なのだと思う。ファンは解答を求めないものだけど、ここのところ「音楽ファン」と「音楽に関わる人」との境界が不明瞭になっている。一億総評論家と言われるように、音楽ファンが書いたネットの文章の方がギャラをもらって雑誌に書いている自称評論家の文章より遥かに優れていたり、誰でもが自由に音楽の感想を発表することが出来るようになったのもその一因だ。「解答」など出ないし、元々、ないのだ。出ない、存在しないという身もふたもない前提に立って、それでも解答を求めようとするのは人間の性のようなもので、それを出来ない、やろうとしないのは、音楽に関わるものとしては自分の生き方の根幹に関わるものですらあると私は思う。そしてそれは言葉を使用して行われることもあるだろうし、言葉以外の、つまり実践(というとオオゲサだけど、つまりその人の生活そのもの)で行われることもあるだろう。
その思考を放棄したいわゆる自称業界人(ミュージシャン、レーベル、流通、店舗、ライブハウス、プロモーター、批評家、などなど)が雨後のタケノコの如く出現してきて、その数は真剣に思考している人数を遥かに超えてしまった。もう既に末期的症状を呈している。ライブひとつ企画するにもマニュアル頼り。そのマニュアル通りにやればまぁなんとか上手く行くようなシステムが既に完成されている。自分で考えて物事を行う必要はなくなっている。ここでは最初から解答が用意されており、安心してものごとを運べる。安心出来る物事ほど危険なものはない。その危険さが露呈してきたのがここのところの音楽状況である気がする。ルーティンになって安心したらもうダメだ。これは自戒を含めて書いているのだけれど、そんなことを田口くんとの会話で色々と考えた。長くなりましたが、まだまだ書けます。また後日。