13時間スタジオに篭もる。

午後2時、吉祥寺GOKサウンド・スタジオへ。本日はONJOのミックス作業であります。病み上がりで比較的元気を取り戻した私と、まだ疲れで熱っぽい大友良英。ややあって元気一杯の水谷浩章登場。だいぶ後にさっちゃんも来る。4人で。何やかや言いながら。各々の音に対する主張があって非常に面白い。
基本的には録音の場で起こったことをそのまま全てぶち込めば良い作品になるとの確信はあったのだが、全員が音を鳴らす激しい演奏のシーンはやはり高良さんのヴァイブやコルのピアノが埋もれてしまう。この美しい音たちを激しい音たちの中でも何とか聴いてもらわねばならない。ラフミックスの段階で聴こえなかった高良さんの絶妙なヴァイブやコルの実に美しいピアノが明瞭に聴こえたとき、うわ。こんなふうに演奏してたんだ、と改めて驚愕した。ホーンセクションが一斉にガーっと音出すと芳垣さんのドラムまで埋もれちゃってたシーンもあったから...。スゲーな(笑)。
水谷くんのホーンアレンジの2曲も各々のホーンプレイヤーの音像が非常にクリアになった。水谷くんのこだわり方も徹底していて、ホーンセクションの混じり方はラフミックスとは全然違うものとなった。ホーンリーダー津上研太を核に、見事なバランスを作ってくれた。
2曲分をミックスするのに5〜6時間費やした。ビッグバンドものをミックスするのはやはり至難の業だな。でも一度音バランスが決まれば、あとは微調整で対応できる。その音バランスが決まるまでがけっこう大変だった。それにしてもコルとマツの即興のもの凄いスピード感には唸った。
全ての音をバラバラに聴いてバランスを考えてまとめるのは演奏中の聴き方とも、普段CDを聴く聴き方とも、全く違う聴き方だ。私なんかはシロート同然だが、エンジニアの近藤さんとか、その辺は抜群の耳を持ってるんだろうな。木を見て森を見ずでも森を見て木を見ずでもダメなのだ、ミックスという作業は。私ももうちょっと耳を鍛えよう。
晩ご飯は4人で近くの沖縄料理屋へ。水谷浩章の昔の暴露話とかめちゃくちゃ面白い話を聞きつつ、太っ腹!大友のおごりで食事を済ませ(ごちそうさまでした。)再度スタジオへ。
水谷くんもさっちゃんも11時頃には帰途につき、GOK近藤さんと大友とオレの三人で淡々とミックス作業を継続。イントロのギターを入れるか入れないかだの、マツの音が大きすぎるだの、色々とあって3時過ぎに全て終了。あ〜、やっと終わった〜。しかしまだこれでも80%で、これから大友氏は2〜3曲にちょっとした編集作業や新たなオーバーダビング作業を施す。途中、中村としまるから電話が来てマスタリングの日程もフィックス。
頭の中がまだホットなのだが、この作品はとんでもなく素晴らしい作品になりそうだ。革命的であるとすら言える。なにが革命的なのか。それは聴いてからのお楽しみにしていてください。